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2006年 02月 09日

昨夜、僕は浮遊感と大きな荷物を従え、
小雨の降り続く街を彷徨っていた。

足取りは重い。

なんのことはない。
久しぶりにこの辺りを歩いたため、
目的地が見つからずにいただけなのだが。

若干途方に暮れながら、物想いにふける。

最近、懐旧の念にさいなまれる事が増えた。
過去が光っている。
これは末期症状だ。

僕は怠惰に溢れた日常を容認した。
そして保障された半年後まで時間を持て余している。

所詮人生など壮大な暇つぶしに他ならないではないか。
死なないために生きるだけだ。
そう、デカダンスごっこには調度が良いだろう?

そうして深想に思いを馳せていると、
ふいに目的の場所が目に飛び込んできた。
やっと見つけたコインランドリーは
遊園地のごとく原色のネオンを放っていた。

連日の雨。
僕は一向に乾く気配の無い洗濯物を、
乾燥機にかける場所を探していたのだ。

大きな荷物に詰まっていた湿った洋服を温風メリーゴーランドへ放り込むと、
凄まじい機械音と共にぐるぐると色彩豊かな洋服たちが回り始めた。
その正常作動を確認し、萎びた週刊誌が並べられた棚の横へ腰を下ろす。

長い雨でしばらく月を見ていない僕はその回転体を凝視していた。


丸いものがその体裁を変えていく様を眺めるのは、
僕にとって愉しい行為に分類される。
欠けた月の様にその本質が崩壊する様な景色を我々は,何の不思議も無く
科学というフィルタを通して見ているのだと想うとやたらと愉しくなってくる。
これは知識的快楽だ。

僕が目を皿のようにして快楽を貪っているのが物珍しかったのか、
大量の洗濯物を腹に収めた Mr.メリーゴーランドはゆうに30分もお回りあそばした。


突然けたたましく鳴り響いた乾燥終了の電子音が僕を現実に引き戻す。

立ち上がり、
すっかり温かくなった洗濯物たちをメリーゴーランドから引きずり降ろすと、
長く伸ばしていたはずの自分の爪が短くなっていることに気づいた。

「!」

どうやら僕はまた無意識に爪をほおばってしまったらしい。
爪を噛む癖が抜けていなかったのだ。
それを理解した途端に僕はひどく落胆した。

「なんということだ。僕は未だに過去に縛られている」

脱力感が全身を襲う。
時として衝撃は感情に当てはまらない。
残り僅かなウォータープルーフアイライナーを補填して。

ああこの無様な有り様は一体どうした事か。
久しぶりに月を過剰摂取した結果がこの見事な喪失だ!

そのあまりの衝撃に僕は
皺になりやすい洋服をたたむ事もせずに袋へ突っ込み、
現実から逃げるように足早にコインランドリーを後にした。

見飽きた家へ戻ると
そこには、見事にひん曲がった美しい箱庭が広がっていた。

僕は嘔吐した。

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と、2004年の10月のメモにこんな話が書き殴ってありました。

あたし紙の日記も書いてるんですけど、
この頃はこういう変な口調の文章とコード進行の走り書きが殆どです。

なんつーか痛いw
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by xx-aki-xx | 2006-02-09 15:02 | ■中の人日記

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